イタリアのサルデーニャ島(Sardinia)は以前から長寿研究の注目スポットだが、今度は島の小さな山村が科学者の目を引いている。10月初めに発表された研究によると、人口わずか約2,300人のボロターナ(Bolotana)では、70歳の女性が100歳まで生きる確率が推定13.8%と、米国女性の3倍以上に達した。研究チームは、ここが新たな長寿の「ブルーゾーン」(Blue Zone)である可能性があるとみている。

画像出典:UIC today(Courtesy of S. Jay Olshansky and Marisa Montibeller)
この研究は学術誌『Frontiers in Aging』に掲載され、共著者には米イリノイ大学シカゴ校(UIC)公衆衛生大学院の疫学名誉教授S・ジェイ・オルシャンスキー氏、そしてブルーゾーンの概念を広め、Blue Zones社を創業したダン・ビュイトナー氏が名を連ねる。ブルーゾーンとは、住民の寿命が周辺地域より明らかに長いコミュニティのこと。これまでに研究者が確認したものには、日本の沖縄、コスタリカのニコヤ半島、そして20年以上前にサルデーニャ島で最初に特定されたブルーゾーンなどがある。
70歳からさらに約21年生きられる
研究チームは2021〜2025年のデータを使い、70歳時点の平均余命と、70歳の人が100歳まで生きる確率という2つの指標を推計した。その結果、ボロターナの70歳女性の平均余命は20.85年で、同村があるヌーオロ県(18.61年)、サルデーニャ全体(18.4年)、イタリア全国(18.06年)を上回った。100歳まで生きる確率は13.83%で、イタリア全国の3.54%の3倍を超える。国際比較でも、ボロターナの女性のこの2つの指標は香港に次ぐ高さだった。
オルシャンスキー氏は「世界中ほぼどこでも女性は男性より長生きだが、サルデーニャはかつてそうではなかった。それがこの島の特別な点のひとつだ」と話す。もともとのサルデーニャのブルーゾーンは男性の長寿で知られていたが、ボロターナでは女性が際立っている。「これは世界で最も長寿な女性集団か、それに極めて近いと考えている」。地元の男性も負けておらず、70歳の男性が100歳まで生きる確率は4.92%と推計され、イタリア全国の1.41%の3倍を超える。
年齢の裏付けは確実、長寿の理由はまだ謎
長寿研究は戸籍データの不正確さを疑われがちだが、ボロターナには数世紀分の自治体記録と教会の洗礼記録が保存されており、研究チームは出生、死亡、洗礼のデータを一人ひとり突き合わせた。オルシャンスキー氏は「100歳を超えて生きた人は全員検証できる。あいまいな余地はまったくない」と言う。研究では、1900〜1925年に同地で生まれた3,060人のうち38人が100歳まで生きたことも記録されている。
なぜこれほど長生きなのかについては、研究自体はまだ答えを出していない。オルシャンスキー氏によると、地元は道が急で坂が多く、住民はほとんど車ではなく歩いて移動する。食べ物の多くは地元産で、健康的な脂肪が豊富なオリーブオイルもそのひとつ。家族が近くに住み、孤立する人はほとんどいない。「人々が互いに支え合い、固く結びついたコミュニティだ」と表現する。研究者らは、食生活、身体活動、家族の支え、社会的なつながり、遺伝子がいずれも関係している可能性があるとみている。
ただし研究は率直に注意も促している。村の人口が非常に少ないため、結果は観察した年によって大きく変わりやすい。2015〜2019年のデータを使うと、女性が100歳まで生きる確率は約1.46%にとどまる。そのため著者らは現時点でボロターナを「候補」のブルーゾーンと位置づけており、本当の長寿の聖地かどうかを確かめるには、さらに長期の観察が必要だとしている。
出典:UIC today(2026/10/5)、Frontiers in Aging 論文、ScienceAlert(2026/10/8)
