海辺で潮風に吹かれながらピザを食べ、ビールを片手に夕日を眺める。最高にのんびりした時間のはずだった。そこへ「恐竜」が突進してくるまでは……。オーストラリア・クイーンズランド州北部のエティ・ベイ(Etty Bay)で先月、思わず苦笑いしてしまう一幕があった。大きなヒクイドリがピクニック中の観光客グループにまっすぐ向かっていき、みんな大慌てで逃げ回る中、ある男性はピザを抱えたまま海に駆け込んだのだ。

画像出典:Licualawinq1/Wikimedia Commons(CC BY-SA 3.0)
「オーストラリアの恐竜に襲われる」 男性はピザを守って海へ
Yahooニュース・オーストラリアによると、この場面を撮影したのはラハル・スーファンさん。先月、ヒクイドリが出没することで知られるエティ・ベイにわざわざヒクイドリを探しに行ったところ、「車を停めた瞬間、バーベキューエリアで楽にごちそうにありつこうとしている立派なヒクイドリが見えた」という。ヒクイドリはそのまま、浜辺でドミノ・ピザを食べながらビールを飲んでいた5人組の観光客のほうへ歩いていった。
スーファンさんはこの動画をInstagramに投稿し、「POV:オーストラリアの恐竜に襲われる」とタイトルをつけた。「恐竜」と呼ぶのは、ヒクイドリが属する古い鳥のグループが、約6,000万年前の恐竜の時代から進化を始めたとされるからだ。スーファンさんは「みんなふざけ半分で、ちょっと怖がってもいたけど、人から餌をもらうことに慣れたわりとおとなしいヒクイドリだった。みんながよけたあとは全員笑っていて、一人は自分のピザを守るために抱えて海に走っていった」と話している。
オーストラリアのナイン・ネットワークの朝の情報番組「TODAY」も、ヒクイドリが観光客のピクニックに乱入した映像を放送した。
動画出典:TODAY/YouTube
蹴り一発で骨折も 当局「絶対に餌を与えないで」
このヒクイドリが「おとなしい」からといって油断は禁物だ。クイーンズランド州政府によると、オオヒクイドリは「世界一危険な鳥」とも呼ばれ、追い詰められたときの蹴りは骨を折るほどの威力があるという。メスは体重76キロ、オスは55キロに達することもある。オオヒクイドリは現在、絶滅危惧種に指定されており、主に落ちた果実を食べ、記録上238種以上の植物を食べている。熱帯雨林の種をまく「庭師」でもあるのだ。
スーファンさんは、エティ・ベイのヒクイドリが人間の与える食べ物にますます依存するようになっているとも指摘する。クイーンズランド州政府の安全ガイドラインには、ヒクイドリへの餌やりは違法であり、危険なだけでなく、ヒクイドリの死につながった例もあると明記されている。人から餌をもらったヒクイドリは大胆になり、人に対して攻撃的になることさえあるという。当局は、ヒクイドリに出会ったら距離を保って観察し、食べ物に近づけないよう呼びかけている。Yahooの記事では野生動物レンジャーのジェフ・ルイス氏の話として、食べ物があると思って近づいてきたヒクイドリに、70代の男性が脚を蹴られてけがをしたこともあったと伝えている。
出典:Yahoo News Australia、クイーンズランド州政府(ヒクイドリ安全ガイド)、クイーンズランド州政府(オオヒクイドリ)
