G-SHOCKといえば、多くの人がまず思い浮かべるのは落としても壊れないタフなスポーツウォッチだろう。ところがカシオ(Casio)の新作は、京都の伝統工芸を腕元に持ち込んだ。G-SHOCKの最上位シリーズ「MR-G」誕生30周年を記念し、カシオは11月13日、世界限定800本の「MRG-B2100HR-1A」を発売する。国内の希望小売価格は税込110万円だ。

画像出典:SoraNews24(Images: PR Times)
MR-Gは1996年に誕生したG-SHOCKのフラッグシップとなるメタルウォッチシリーズで、「究極のタフネスウォッチ」をコンセプトに、最先端の技術と熟練の金属加工技術を組み合わせて作られている。今回の30周年記念モデルのテーマは「悠(はるか)」。時を超える強さを象徴している。
着想は「木組」 1本1本が唯一無二
文字盤のデザインは、日本の伝統的な「木組」の技法から着想を得た。釘などの金物を使わず、木材同士をかみ合わせて組み上げる建築・木工技術だ。カシオはこのコンセプトを立体的な格子状の文字盤に落とし込み、精密に組み合わされた木の部材のように仕上げている。
文字盤の加工を手がけたのは、箔アーティストの裕人礫翔(ひろと・らくしょう)氏。1962年に京都・西陣で生まれ、認定「伝統工芸士」であり「京の名工」でもある。父のもとで箔の技術を学び、2002年に自身のブランドを立ち上げたほか、文化財の保存を目的としたデジタルアーカイブ事業にも参加してきた。
今回、礫翔氏は立体的な文字盤の1枚1枚に、プラチナ箔を粉末状にして蒔く「砂子(すなご)」の技法を自ら施した。SoraNews24によると、この技法は絵巻物や経典の制作に由来するという。粉末が繊細かつ不均一に散らばることで、きめ細かな輝きと濃淡が生まれ、1本ごとに表情が異なる、まさに唯一無二の作品となる。
伝統工芸とハイテクの融合
礫翔氏の作風に呼応するように、ベゼルとバンドにも工夫が凝らされている。カシオは超短パルスレーザーでミクロン単位の加工を施し、「構造色」の技術で箔の質感を再現した。構造色とは、チョウの羽や鉱石に見られる虹色の光沢のように、見る角度によって色が変わるものだ。
このモデルは八角形ベゼルで人気のMRG-B2100をベースにしており、ベゼルは27個のパーツに分割され、細部まで一つひとつ研磨してから組み立てられている。ベゼルとバンドには高硬度合金のコバリオン(COBARION)とDAT55Gを採用。SoraNews24の説明によると、コバリオンはステンレスの約2倍の硬度とプラチナのような輝きを持つコバルトクロムモリブデン合金、DAT55Gは純チタンの約3倍の強度を持つ高性能チタン合金だ。G-SHOCKのタフな作りと京都の伝統的な箔工芸を組み合わせたこの限定モデルは、時計ファンやコレクターにとってかなり魅力的な一本といえそうだ。
