たった30ドルで買った小さな絵が、なんと135万ドルで売れた! 米シカゴの故女性画家ガートルード・アバクロンビー(Gertrude Abercrombie)が1951年に描いた『Alderman Merriam’s Shells』(メリアム市議の貝殻)が、10月1日にニューヨークのフリーマンズ(Freeman’s)のオークションで、ハンマープライス106万ドル、購入者手数料込みで135万2,600ドルで落札された。この画家の作品のオークション最高記録を更新しただけでなく、彼女の作品として初めて100万ドルを突破した。

画像出典:Courtesy Freeman’s(via ARTnews)
ガレージ脇の廊下にあった小さな絵、展覧会カタログで正体判明
シカゴ・サンタイムズ紙と『ARTnews』によると、この絵を見つけたのは匿名を希望する「掘り出し物ハンター」。今年7月、ミシガン州カラマズー(Kalamazoo)で開かれた遺品セール(エステートセール)にレコードやヴィンテージ家具を探しに行ったが、到着が遅すぎて会場はほぼ買い尽くされていた。ところがガレージへ続く廊下で、貝殻が描かれた小さな絵を見つけた。左下には「abercrombie ’51」の文字。半信半疑のまま30ドルで買ったという。
少し調べたあと、彼は家族旅行の予定まで変更し、ミルウォーキー美術館で開催中だったアバクロンビーの回顧展を見に行った。すると展覧会カタログの中に、この絵の古い写真が載っていた。1952年に彼女の展覧会を評した記事に添えられていた図版だ。その後、アバクロンビーの専門家でルーズベルト大学の美術史名誉教授スーザン・ワイニンガー氏が、これこそ長年行方不明だった『Alderman Merriam’s Shells』だと確認した。この絵はわずか8×11インチ(約20×28センチ)で、暗闇の中に散らばる貝殻が描かれている。
オークション前には、米CBSシカゴがこの絵が発見されたいきさつを報じていた。
動画出典:CBS Chicago/YouTube
かつては手術代の代わりに 最終的に予想価格の5倍超で落札
フリーマンズの資料によると、絵に描かれた貝殻はもともとシカゴのハイドパーク地区の市議会議員ロバート・メリアム氏のもので、アバクロンビーもハイドパークに住んでいた。この絵は1952〜1953年にシカゴ、ニューヨーク、ミルウォーキーで展示されたのち、画家からカラマズーの医師ジョン・レイノルズ氏に手術代として贈られ、以来ずっとこの医師のコレクションに収まっていた。今回の遺品セールで、ようやく再び日の目を見たのだ。
オークション前の予想落札価格の上限は25万ドルで、最終的な落札額はその5倍以上となった。アバクロンビーは1977年に68歳で死去。2000年代初めまでは彼女の絵がリサイクルショップでも見つかったが、近年は相場が急騰している。フリーマンズのシニア・バイスプレジデント、ザカリー・ワーサム氏は「30ドルの投資で、なんというリターンだろう!」と大喜び。さらに、彼女の作品の不気味で幻想的な作風にかけて、その価格は「奇妙な空こそが限界(The sky is the limit)」だと冗談を飛ばした。
