英ノッティンガムシャー州フォレスト・タウン(Forest Town)で、「ウォレスとグルミット」の短編『ペンギンに気をつけろ!』に登場する悪役ペンギン、フェザーズ・マッグロウをかたどったニットの郵便ポスト帽が盗まれてから約2週間。なんと6歳の男の子が柵の向こうに「キラキラ光る羽根/飾り」を見つけ、住民のイアン・ワトキンスさんがほうきで引っかけて救出し、無事持ち主のもとへ戻った。BBCニュースが2026年10月7日、ルーシー・ルイス記者の記事で伝えたこの心温まる、それでいてちょっとシュールな地域の物語に、思わず首をかしげつつ笑ってしまう。

画像出典:Ian Watkins(via BBC News)
作者は60歳のデビー・ウィリアムソンさん。マンスフィールド周辺で活動する「フォレスト・タウン・ヤーン・ボマーズ」のメンバーだ。コロナ禍のロックダウン以来、クリップストーン・ロード・ウエストの郵便ポストに編み物の飾りを着せ続け、毛糸で街角をやさしく「占拠」してきた。今回の盗難は本人いわく「とどめの一撃」で、活動をやめることまで考えたという。ところが帽子は「かなり目立つ」柵の奥に隠れていて、男の子が32歳の母親サリーさんと散歩中、光の反射に気づいた。まるで見つけてもらうのを待っていたかのようだ。
救出道具はほうき 地域のリレーで取り戻す
発見後、地元住民のワトキンスさんがほうきで帽子を柵の外へ引き寄せ、ウィリアムソンさんに返した。映画のような特殊効果は一切ないが、目ざとい子ども、手を貸す隣人、そして再び前を向く編み手と、まるでイギリスの田舎町のドキュメンタリーのような味わいがある。毎日ポストの前を通る人にとって、あのペンギン帽は道すがらのささやかなサプライズ。2週間消えていたのは、話のネタがひとつ減り、通行人が足を止めて微笑む理由がひとつ減ったのと同じだった。
「ヤーン・ボミング」のような地域の手仕事は、「続けてくれる誰か」がいてこそ成り立つ。盗難でいちばん傷つくのは作品そのものより作者の気持ちだ。今回は中古市場やゴミ箱に永遠に消えることなく、見つかって本当によかった。
編み手は心変わり 「リベンジ」版の新作も計画
フェザーズ・マッグロウといえば、作中でゴム手袋をはめ、いかにも悪だくみ顔のペンギンの悪役。郵便ポスト帽にするだけでも十分ネタになるが、盗まれて戻ってきたことでオチまで完璧になった。帽子が戻ったことで、ウィリアムソンさんは引退を考え直している。さらに友人と3Dプリントを使い、フェザーズの「リベンジ」をテーマにした新デザインを作る計画もあるそうで、挫折を次の帽子のネタに変えてしまった。イギリスの小さな町でニットの動物をかぶった郵便ポストを見かけたら、ぜひもう一度よく見てほしい。もしかすると次は、ちょっとした復讐ネタを背負ったペンギンが戻ってきて、毎日誰かが手紙を投函する赤いポストを見守っているかもしれない。
小さな郵便ポスト帽が、子ども、母親、隣人、そして編み手をつないだ。こうした温かな地域のつながりこそ、ヤーン・ボミングがいちばん残したいものなのだろう。
出典:BBC News
