生ハム好きは要注目。クロアチア・イストリア半島の小さな町ティニャン(Tinjan)が、2026年10月16日午前10時、ギネス世界記録「同時に塩漬け肉(プルシュット)をスライスした最多人数」に挑戦する。300人のスライス名人を一度に集め、スペインのトリホス(Torrijos)が2018年10月に打ち立てた205人の記録を塗り替えるのが目標だ。小さな町にとってこれは単なるお祭りではなく、地元の生ハム文化を世界記録の本に刻む試みなのだ。

画像出典:Sebastijan Skoko/Boris Baran(ISAP archive via Croatia Week)
挑戦は国際プルシュット見本市「ISAP 2026」の目玉企画で、前夜(15日)にはリハーサルも行われる。ルールは一見ゆるそうで実はかなり厳しい。参加者はそれぞれ2分以内に、厚さ0.5〜1.5ミリの薄切りを最低5枚切り出さなければならず、誰か一人でも失敗すれば挑戦全体が無効になる可能性がある。プロの職人も経験のあるアマチュアも参加でき、参加費は無料だが定員は300人。QRコードで申し込み、成功すれば記念のエプロン、メダル、名前入りのギネス認定証がもらえる。
なぜ小さな町が「ハムを切る」ことにここまで本気なのか
ティニャンは昔からイストリア産プルシュットで知られ、ISAPはもともと地元グルメと観光の看板イベントだ。今回は「同時スライス」を300人規模に広げ、祭りの熱気を世界的なニュースにまで膨らませた。Croatia Weekが10月8日にこの話題を報じた際には、町長までスライス要員に名を連ねており、町ぐるみの本気度がうかがえる。公式に参加者も募集しており、旅行者と地元住民が一緒に歴史をつくろうと呼びかけている。
イストリアの地元テレビ局TV Novaも、ギネス記録挑戦に向けたティニャンの準備の様子を報じている(クロアチア語)。小さな町の生ハム熱を感じてみてほしい。
動画出典:TV Nova News/YouTube
光が透けるほど薄いプルシュットは、もともとイストリアの食卓の誇りだ。ギネス記録に必要なのはにぎやかさだけではない。全員が同じ時間に同じ基準で、合格ラインの包丁さばきを見せなければならない。観客にとっては想像するだけで迫力満点。300組の手が一斉に包丁を入れ、あたり一面に生ハムの香りが漂うのだ。
2分間で5枚、ミリ単位の厚さ
ギネス挑戦で一番怖いのは「一人のミスで全員アウト」になること。だからこそリハーサルと当日の進行管理が同じくらい重要になる。2分というと短くはないように聞こえるが、厚さを0.5〜1.5ミリにぴたりと収め、しかも5枚以上そろえるのはアマチュアには本格的な挑戦だ。16日にすべてがうまくいけば、この小さな町は「300本の包丁が一斉にきらめく」光景で、生ハム文化を世界のニュースに押し上げることになる。旅とグルメが好きな人は、日付に印をつけておくのもいいだろう。たとえ包丁を握る枠に入れなくても、マーケットの香りと祭りの雰囲気だけでグルメ日記が一本書けそうだ。
記録達成の成否にかかわらず、ティニャンはすでにプルシュットと町の名前を世界に届けることに成功した。食通にとっては「300人が同時に生ハムを切る」という一言だけで、イストリアの塩気と海風が思い浮かぶはずだ。
