チリ北部のアタカマ砂漠は、極地を除けば世界で最も乾燥した砂漠とされ、年間降水量はふだんわずか15ミリほどしかない。ところがここ最近、この荒野が赤、黄、紫、白、オレンジの花で埋め尽くされている。今年の南半球の冬に降ったまれな大雨が、砂の中で眠っていた種子を目覚めさせ、現地で「デシエルト・フロリード」(Desierto Florido、花咲く砂漠)と呼ばれる絶景が再び出現。しかもその規模は過去30年で最大になる可能性があるという。

画像出典:European Union, Copernicus Sentinel-2 imagery(EU Space Support Office)
花畑の広さは首都州並み 衛星写真でもくっきり
エクアドル紙エル・ウニベルソによると、今回の開花面積は約1万7,000平方キロで、チリの首都サンティアゴを含む首都州とほぼ同じ広さだ。チリ国家森林公社(CONAF)は、1997年以来最も広範囲かつ見事な開花だとしており、一部地域では累積雨量が160〜190ミリに達し、1950年代以来の多さとなった。花畑は海岸沿いに、北のチャニャラル(Chañaral)から南のフレイリナ(Freirina)まで続いている。
EUのコペルニクス計画もSentinel-2衛星を使い、2025年9月24日と2026年9月21日の同じ地域の画像を比較した。フォルスカラー画像では、植生を示す赤色が今年は大量に現れ、昨年の荒涼とした景色とくっきり対照をなしている。現地の研究機関CIAHN Atacamaの責任者パブロ・キロドラン氏は、ふだんは乾ききって見える空港周辺が、今は「ゴルフ場のように緑になっている」と表現した。
フランス24のスペイン語チャンネルも現地を訪れ、アタカマ砂漠が花畑に変わった様子を撮影している。
動画出典:FRANCE 24 Español/YouTube
数十年眠っていた種子が目覚める 当局「花を踏まないで、球根を掘らないで」
この花畑には200種以上の植物が含まれる。赤や黄色の「アニャニュカ」(añañuca)、白い「ススピロ」(suspiro)、そして地元を代表する「ライオンの爪」(garra de león)などだ。これらの植物の種子や球根、塊茎はふだん地中で何年も、ときには何十年も眠り、雨が降るのを待って芽を出す。チリ紙ラ・テルセラによると、これまで開花の記録がなかった場所でも今年は花が咲いており、種子が何十年も休眠していた可能性を示しているという。
花畑は観光ブームも呼んでいる。チリ政府観光局は、花の季節が終わるまでに現地で約30万人泊の宿泊旅行があると見込む。新たに設立された「花咲く砂漠国立公園」が代表的なエリアのいくつかを保護しており、当局は旅行者に責任ある観光を呼びかけ、花の上を車で走らない、花を摘まない、球根を掘らないよう求めている。アタカマ州のミゲル・バルガス知事も、「花咲く砂漠」の世界遺産登録を目指したい考えを示した。
出典:El Universo、La Tercera、El Dínamo、EU Space Support Office(Copernicus)、El Espectador
