一段、また一段と人の上に人が乗り、最後は子どもが頂上まで登って手を挙げる。これがスペイン・カタルーニャの伝統「人間の塔」(カステル、Castells)だ。第30回タラゴナ人間の塔コンクール(Concurs de Castells)が10月4日(日)、タラコ・アリーナ(Tarraco Arena)で開かれ、トップレベルの12チームが腕を競い、数千人の観客が会場を埋め尽くした。米CBSは、世界最大規模の人間の塔の大会だと伝えている。

画像出典:タラゴナ市役所(Ajuntament de Tarragona)/撮影:M. R. Granell
優勝チームが最後に「史上初」を達成、ライバルは最終ラウンドを棄権
タラゴナ市役所が発表した結果によると、緑のシャツの「カステリェルス・ダ・ビラフランカ」(Castellers de Vilafranca)が1万4,635点で優勝。同大会での優勝は14回目となる。彼らはまず高さ10段の塔を2基完成させ、第4ラウンドで歴史を刻んだ。人類史上初の「9 de 9 amb folre」を組み上げ、崩さずに解体まで成功させたのだ。人間の塔の表記法では、「9 de 9」は1段9人で全9段を意味し、「amb folre」は土台の外側をさらに人の輪で囲んで支える形を指す。さらに難しい「9段の1人柱」にも挑んだが、こちらは成功しなかった。
勝負は最後までもつれた。ピンクのシャツの「コリャ・ベリャ・デルス・シケッツ・ダ・バイス」(Colla Vella dels Xiquets de Valls)が2位。外側の支えなしの「3 de 9」を頂上まで組み上げ、地元以外でこの塔を完成させたのは初めてだった。ビラフランカが第4ラウンドで「9 de 9」を完成させたところで、ライバルのリーダーはようやく第5ラウンドの棄権を表明。3位には地元の「コリャ・ジョベ・シケッツ・ダ・タラゴナ」(Colla Jove Xiquets de Tarragona)が入った。大会全体で最高難度クラスの塔が11基、9段の塔が12基登場した。
カタルーニャの人間の塔専門メディア『Revista Castells』が、ビラフランカが「9 de 9」を完成させた歴史的瞬間を撮影している。
頂上に登るのは子どもたち 大雨で開始も延期に
人間の塔には高度なチームワークが欠かせない。数十人が土台で強固な「ピーニャ」を組み、ほかのメンバーが一段ずつ登っていき、最上段には子どもが立つ。ある出場チームの子ども部門責任者、フリア・コスタさんはCBSに「子どもたちは人間の塔の伝統で一番大切な存在」と語った。わざわざインドから飛んできた観客もいて、子どもの頃からの夢だったという。人間の塔は2010年にユネスコ無形文化遺産に登録されている。
今回の大会は波乱含みでもあった。タラゴナ市役所によると、大雨の気象警報が出ていたため、主催者と12チームが協議し、日曜の競技開始を午後4時まで遅らせた。大会後の表彰式と記者会見もすべて中止となり、後日改めて行われることになった。優勝チームのリーダー、グラウ氏は大会後、かすれた声でメンバーに「俺たちは世界最高の人間の塔チームだ。決して疑うな」と語りかけた。
