32頭のラクダが長い列をつくり、羊毛の俵を満載したアンティークの馬車を引いて会場を周回すると、観客から大歓声が沸き起こった! オーストラリア・ニューサウスウェールズ州南部の小さな町バレラン(Barellan)で先週土曜(10月3日)に開かれた「グッド・オールド・デイズ・フェスティバル」(Good Old Days Festival)で、「1台の馬車を引いたラクダの最多頭数」のオーストラリア記録が誕生。はるばる米国から来たラクダ牧場主たちも夢中で見入っていた。

画像出典:ABC News(Supplied: Kim Woods)
4人の飼い主のラクダ、まずは「チームワーク」から
オーストラリア放送協会(ABC)によると、この32頭の隊列はニューサウスウェールズ、クイーンズランド、ビクトリアの3州から、4人の飼い主のラクダを集めて編成されたもので、2024年に同じ祭りで記録された22頭を更新した。ラクダたちは引き具をつけ、羊毛の俵を積んだアンティークの馬車を引いて会場を何周も走った。
隊列を率いたのは、ラクダ使いのロドニー・サンソムさんと愛ラクダの「サースティ」(喉が渇いた、の意)。サンソムさんによると、最大の難関は4人の飼い主のラクダをひとつにまとめることだった。「ほかのすべてのラクダにも、馬車を操るすべての人にも慣れてもらわないといけない」。チームは何年もかけて訓練し、先頭を務めるラクダ、車輪の近くで力を出すラクダ、今回のために特別に準備した若いラクダなどを配置し、本番前には家畜の移動路で練習を重ねた。訓練の秘訣を聞かれると、「英語を教えないとね……ラクダに優しくして、こちらが何をしてほしいかわからせてやれば、喜んで手伝ってくれるよ」と笑った。
米国の牧場主「オーストラリアの人は野生のラクダから訓練する」
今回の挑戦には「北米ラクダ牧場主協会」の代表団もわざわざ駆けつけた。協会の教育担当ディレクター、ダグ・バウムさんは、各国の「ラクダ文化」を交流するために来たと話し、オーストラリアのラクダ使いが国の歴史を大切にし、祭りでその過去をよみがえらせていると称賛した。メンバーのヴァレリ・クレンショーさんは、オーストラリアのラクダ使いは野山を駆け回る野生のラクダから訓練を始めるが、米国では農場で生まれ育ったラクダがほとんどで、忍耐力を養い信頼関係を築く難しさがまったく違うと話す。カンザス州の肉牛牧場で育ち、幼い頃から乗馬をしてきた彼女は、初めてラクダに触れたとき「うれしくて、すっかり心を奪われてしまった」という。
テキサス州出身のバウムさんによると、地元ではラクダは珍しいが、ラクダを通じて歴史を知ってもらうのが好きだという。たとえば米陸軍は1850年代、軍需物資を運ぶためにラクダ部隊を編成したことがある。「ラクダは好奇心そのもの。もっと多くの発見へとつながる鍵穴のようなものなんだ」。同じ祭りでは、去勢牛56頭による荷車引きという別のオーストラリア記録も生まれた。昨年は重輓馬62頭が一緒に荷車を引いて記録を樹立している。サンソムさんは「100年前に生まれていればよかったとよく言うけれど、自分は今ここにいる。歩きながら思い出をつくっているんだ」と語った。
