新潟県上越市の中川幹太市長が先月、ある一言で大騒動を巻き起こした。高校時代に住んでいた兵庫県三田市のコメを公の場で「おいしくない」と評し、地元農家の強い反発を招いた結果、最終的に自ら現地へ謝罪に出向くことになったのだ。
騒動の経緯
7月1日、中川市長は上越市役所で日本酒の話をしていた際、何気なく三田市のコメは「味が良くない」と口にした。その2日後、上越市内の専門学校で学生向けに講演した際にも「言ってはいけないが、三田のコメは本当においしくない」と重ねて発言した。
この発言はたちまち炎上した。理由はいくつかある。
- 日本社会は農業を特に尊重しており、稲作は伝統文化の象徴でもある。
- 中川市長自身がかつて三田に住んでいたのに地元のコメを批判したのは、いわば昔のご近所さんを「背後から刺した」ようなもの。
- 上越は日本有数のコメどころ・新潟県にあり、ほかの地域のコメを批判すると、相手を見下しているように聞こえやすい。
三田市の田村克也市長は怒りをあらわにし、7月10日に記者会見を開いて中川市長に正式な謝罪を求めた。中川市長はまず電話で謝罪したが、田村市長はこれを受け入れず、三田まで直接足を運び、農家に対面で謝罪するよう求めた。
正式な謝罪の場
7月29日午前、中川市長は実際に車で約5時間かけて三田市を訪れ、市役所で記者会見を開いて謝罪した。
「三田市民の皆さま、農家の皆さま、関係者の皆さまにご迷惑をおかけし、深くおわび申し上げます。私の発言は極めて不適切で、本当に申し訳ありませんでした。自分の子ども時代の記憶によって多くの方を巻き込んでしまったことを後悔しています」
謝罪の後には三田の田んぼをわざわざ見学し、地元農家や報道陣の前で三田のコメを試食して「おいしい」と公言した。三田米の評判回復に全力を尽くすと約束し、近く東京で開かれる上越の農産物PRイベントでも、三田米を一緒に宣伝する考えを示した。
今回の騒動は、日本でよその土地のコメを批判するのは決して小さなことではないと改めて示した。とりわけ政治家にとっては、うかつな一言が、遠路はるばる直接謝罪に出向くという代償につながりかねないのだ。
